土台の土台

 問題です。東京大学の入学試験で、受験生に求められているレベルとは?

 「そりゃぁ高校の内容を深く理解していて、応用もきちんとできることでしょう。」

 そんな風に答える人が、多いと思います。それで間違っているとは言えません。

 でも、もっと正確で、あなたの役に立つ答えがあるのです。

 東大が求めている能力とは・・・

 それは「小学校レベルのことがきちんとできる」こと!!

 ウソではありません。

 もちろん中学高校で勉強することも必要ですが、小学校で習うことを自分のものにしておかないと話になりません!

「え、そんなことならだいじょうぶ。ちゃんと小学校も卒業してるし♪」

 ぶー!ぶー!(笑)

 そんなことを言ったら、全員東大に受かってしまうではありませんか!

 小学校の学習内容をカンペキに理解して実践している人は、意外と少ない、それどころか、ほとんどいないのではないでしょうか?

 全ての高校生、受験生、そして社会人も、できることなら小学校に入りなおしたほうがいいと個人的に思っています。もちろん僕も含めて。(笑)

 それくらい、小学校というものが重要だと言いたいのです!

 「さぁ、いまから勉強でもやろうか!」といって、いきなり難しい高校レベルの問題をやっても時間のムダです。基礎、土台が大事という話もしました。

 でも、その土台の、そのまた土台というものが、一番のおおもとにあるのです!その全てのみなもとが、小学校!!

 例えば、問題を解こうとするとき、必ず使う能力はなんでしょうか?英語でも社会でも理科でもどんな教科でも使います。

 それは、「日本語の能力

 問題は全て日本語で書かれています。その、日本語で書かれた問題文を読んで理解しないと、解けません。そして、その問題の答えを考えるのも、全て日本語でです。頭の中で、または紙に書いて、日本語で考えるのです。

「とし子さんは6こ、正くんは3こもっています。正くんはとし子さんのなん倍もっていますか?」

 という数学(算数)の問題。わり算を使うということはわかっても、式がたてられない子供が多いんです。逆にして、6÷3なんてやってしまいます。それはなぜか?

 それは、日本語の文章がきちんと読めていないからなのです。文の構成がわかっていないのです。日本語と言っても、漢字や言葉の意味を知っているだけではいけません。日本語の構造、つくりなど、意味の流れがわかることが大切です。

「きのうは、雨がふりました。でも、きょうははれました。」

 この日本語の文章を見てください。「雨」という漢字、その意味は、空から落ちてくる水のこと。主語が「雨」で、述語が「ふる」。「雨」というものが、「ふる」ということをする。そして、前半の文は過去に起こったことを表している。反対の内容になっている二つの文が、間をつなぐ言葉によって、つながっている。

 たとえば、こんなようなことです。この、日本語の言葉の意味と構造をきちんとわかっていれば、どんな問題でも解くことが可能になります。あとは、それぞれの教科の学習をすればいいだけなのですから。逆に、日本語が本当にわかっていないと、いくら数学がわかっていても、英語がわかっていても、正しい答えはでてきません。

 この日本語能力、難しい言葉では、語彙(ごい)と文法です。英語にもありますよね。英単語をいくつも覚えたり、英文法をさいしょから習ったり。日本語でも同じです。日本人であるあなたは、まず日本語をマスターしなければなりません。

 でも、また小学校に通うことなどできません。では、今から日本語の力を伸ばすには、どうしたらいいか?

 カンタンです。日本語を使うこと、です。

 「そんなの毎日やってるよ!」というあなた、そう、それ!それでいいんです。(^^)

 いつも自然にやっていることで、あなたの日本語能力は少しずつ高くなっているのです。でも!そこに、ちょっとしたスパイスをきかせると、もっともっと劇的にアップするのです。それは、日本語能力のなかで、ふだん使っていない部分をを使うこと!眠っているあなたの能力を最大限引き出すのです!

 たとえば文を書くという作業をあまりしたことがない場合、毎日2,3行の日記を書く。頭で考えたことを、それだけで終わらせてはもったいない。ぜひ文字にしましょう。そうやって形のないものに形を与えることで、あなたの頭の中は整理されます。「きょうはダチと遊んだ。好きな人と目があった。うれしかった。」くらいのシンプルなものでOKです。

 仲のいい友達と交換日記、なんてのもとてもいいですね。自分で書くだけではなく、人に見せられるからです。人の目を意識して、文を書くことを考えるからです。この時に働いているあなたの脳は、眠っていた日本語能力をめいっぱい使っているのです。

 たとえばあんまりほかの人と話をしたりしないという場合、おしゃべりしましょう。頭の中にある自分の話を、そのまましまっておくのはもったいない。毎日の他愛もないくだらない内容でかまいません、ぜひ人に伝えましょう。

 どうしてもそれができない場合、シュミレーションをしてみましょう。あなたが話したいことを頭の中で前もって準備しておくのです。「最初はごはんの話をして、次はテレビの話。相手はなんていうかな?そしたら私はこう言おう。」というふうに。

 一人で声に出して練習してみてもいいですね。・・・だれですか、ヘンな人みたいだからイヤって言っているのは?(笑)恥ずかしがることはありません。部屋でやっていれば、誰にも知られることはないのですから。楽しくやったもん勝ちですよ!

 あとは、あまり文章を読んだことがないという場合。本を読むといい!なんて知ってるけど、なかなか読もうと思わないものですよね。その気持ちは痛いほどわかります(笑)だったら、趣味の雑誌とかはどうですか?マンガでもいいですよ?

 難しい本を読む必要はありません。なんでもいいから、あなたの好きなものがいいです。というより、好きなものじゃないとダメです。いやいやすることで、役に立つことなど、何一つないのですから。

 友達が書いた文章を読むのもいいですね。プロが書く文とは一味ちがった感覚が新鮮です。この点からも、さっき言った交換日記っていうのはいいですね。夏休みの宿題の読書感想文を見せ合っても面白いです。

 テストの答案も、実はすごくイイ!あなたも、あまり他人の答案なんてじっくりと見ないでしょう?だからこそ、いつも使っていなかった脳の部分を活性化することができるのです。恥ずかしがって見せてくれなかったら、自分の答案と交換ってことでお願いしましょう(笑)

 こんなふうに、人によっていろいろな方法があります。日本語能力は、どんなふうにしてもアップすることができるのです!今からでもぜんぜん遅くはありません!はやく心がけた人から、どんどんと、土台の土台を大きく強くできるのです!

 それができたら、土台の一番うえに、まっ白いステキなお城を建てることなんか、ちょーカンタン♪

 ここからは違う意見の専門家の方もいらっしゃるかもしれませんが、僕は個人的に、帰国子女の人(幼い頃、外国で生活していた人)は損をしている、もったいないと思います。「え、外国語も日本語もペラペラでうらやましいのに!」と、あなたも思うことでしょう。

 そんなことはありません。人間に与えられた時間は平等です。だれでも同じ、1日24時間しか使えません。外国語を覚えるのに使った時間のぶんだけ、日本語を覚えられなかったのです。日本に住んでいたあなたは、それだけ日本語能力が優れているのです。

 日常会話をするだけだったら、支障はないかもしれません。しかし、試験の問題は文字になっています。それを読まなければなりません。しかも難解な漢字、普段の会話で使わない語句など山ほどでてきます。日本に住んでいたあなたの方が有利なことは間違いありません。

 近年は小学校に入る前から、子供に英語を習わせるのがはやっているらしいです。これも僕は、逆によくないと思っています。それくらいの年齢の子は、脳の成長が活発で、なんでも吸収がはやいのです。だからこそ、親は英語を吸収させようと思うのでしょう。

 しかし、その時期は、日本語を身に付けるのに費やすべきです。日本語を母国語として使い続けるというのならば。人間がものを考えるのは母国語でです。どんなにたくさんの言葉を話せる人でも、それは変わりません。

 脳は、ものを考えることで成長していきます。ものを考える手段である母国語が身についていないと、考えることすらできません。

「そら」と「あおい」しか知らない人は、そらがあおいということしか考えられません。もし、「きれい」を知っていれば、そらがあおくてきれいだと、一歩進んだ考えができます。それにともなって、新しい感情がめばえるのです。

 青い空を見て、何かを心の中で思った。でも、その気持ちを表す言葉を知らない。言いたいのに、言えない。こんな状況では、人間にとって一番大切な、「心」が育ちません。この、「心」が、土台の土台の、そのまた土台です。(これで「土台」が出てくるのは最後になります(笑))

 画家だったら、言葉の代わりに絵で表現するかもしれません。歌手だったら、メロディーで表現するかもしれません。そういった特殊な能力を持っていない人でも、使える表現手法、それが、「言葉」。

 だれもが持っている能力。でも、使った人ほど、高くなる能力。それが「言葉」。日本に住んで、日本語を母国語としているあなたの「言葉」は、「日本語」です。この、日本語の能力を、伸ばしてください。せっかく平等に与えられた素晴らしいチカラなのですから。

 言葉によって、心を育(はぐく)み、その育った心が何かを感じ、感じた気持ちをまた言葉で表現するのです。声でも、文字でもいい、この繰り返しです。

 心と頭が、言葉を通してからみあい、お互いに刺激しあって、発達していく。これが人間の成長です。東京大学は、なにも学力が高い人を求めているのではありません。人間として普通に成長している人を求めているのです。

 決して、赤い羽根の募金をするだとか、友達の相談に親身に乗るだとか、好き嫌いをしないでなんでも食べるとかではありません。そんなご立派な人間でなくていいのです。普通に、自分が思ったことをほかの人に伝えることができ、ほかの人の話を聞いてきちんとその話がわかる人間であればいいのです。

 僕の話は、文章で書いてあるので、話し言葉よりもわかりづらいと思います。しかも、文章があまり上手とは言えません(^^;)だから、僕の話がわかるくらいのチカラをもっていれば、大丈夫だと思います。その調子でどんどんのびていって下さい。

 そして、僕の話の内容が理解できたら、それを実行するかどうかを決めてください。意味がわからないのに、やってみようなんて決められませんものね。

 でも、決めるのはゆっくりでいいのです。本当にサトルっていうヤツは信用できるのかな?と慎重に考えてください。アヤシイ人の言うことなんて、やりたくないですものね(笑)

 僕はこれからもいろいろ話をしていきます。その中で、もしあなたに信用してもらえるのならば、どんなにウレシイことでしょう。そうなるようにがんばるぞ!


◆2005年3月11日追加◆

本日のニュース「小学校英語、親の71%賛成 教員は54%が反対」を読んで

 これは、文部科学省が行った意識調査の結果で、本日開かれた中教審の外国語専門部会で報告されました。  小学校の英語教育必修化についての考えを、児童、保護者、教員に聞いたものです。  賛成の理由は、簡単に想像がつきますよね。  少子化も一段と進み、「お受験」という言葉が流行するほど受験戦争が厳しくなっています。  自分の子供を「いい」学校へ進学させたいと思う親は多いです。  そのために、できるだけのことをしたいと切に願っています。  低年齢のころから英語に慣れ親しんだ方が、上達しやすいと思うのでしょう。  プチエリート教育として我が子の競争力を高めているのです。  一方、小学校での英語教育について、反対の人も少なからずいます。  先生に限って言えば、反対意見のほうが多いのです。  その反対する理由がわかりますか?  僕が言っていることと同じです。  つまり、小学校の間は、ほかの教科をいっしょうけんめい学んで欲しい、というものです。  その土台をしっかり作った上で、英語なりなんなりをやるほうがいいと思います。  というよりもむしろ、土台が築けていないと、そこに何を建てても崩れるのみです。  急がば回れ。土台をしっかりさせることが、遠回りのように見えて実は近道なのですよ(^^)



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