批評家になるな!

東大の本郷キャンパスの近くには、後楽園球場があります。自転車で15分もあれば行けるくらいの距離です。
プロ野球ファンの人にとってはとてもいい立地だそうです。授業や実験が終わってからすぐ行けるので(笑)
そんな、とても野球好きなクラスメイトがいました。プロ野球のシーズンになるとその話ばっかりしています。
自分が応援しているチームが勝った、負けた、あの選手はこれこれだからいいとかだめとか、さも自分が知り合いであるかのように。
それでもって、あいつはたいしたことないとか、あのチームは負けこし決定だとか、それこそたいした根拠もなく発言しているのです。
「そんなに言えるほど彼は詳しいのかなぁ。」
ぼくはそう思いました。そんなに他人のことをとやかく言えるほど、専門的な知識をもっているのかなぁ?と。
いえ、まだ誉めているのならいいんです。けなしているから問題なのです。それでぼくは、どうしてそう言えるのかと、彼本人に聞いてみました。
するとこう言いました。
応援してるチームが負けると悔しいので、だれかが悪かったからという風にして、すっきりしたいのだ、と。別にそのだれかが悪いわけでもないことは、じゅうじゅう承知している、と。
さすがに彼も東大生です。自分のやっていることを客観的にわかっていました。わかったうえで、わざとやっているのです。いわゆるネタというやつです(笑)
でも、こんなふうに開眼している人は少ないです。
チームや選手の悪口を言ってストレス解消をしてはいるのだけれども、それが合理的な根拠のあるものではないことを知らずにやっている人。
わざわざけなしているのではなく、本気でけなしているのです。けなしている相手に落ち度があるのだと、本当に思っているのです。
前述の彼が批評を楽しんでいるのとは異なり、批評に逆にのみこまれ、ふりまわされている人のほうが多いです。
ぼくが受験生のときも、こんな人がけっこういました。
高校や予備校の先生、参考書などをあげつらって、これがいい、これがだめだと批評しているのです。そんな人にぼくは、
「なにさまですか?」
と言ってしまったことがあります。(もっと柔らかい、遠回しな言い方でしたが(笑))
高校の先生になるには教員免許を取得しなければなりません。大学で教職科目をとって、試験も受けて、実習をして、やっとなれるのです。
予備校の先生は、人気商売です。実力がなければ、すぐに解雇されます。逆に、先生として居続けられるということは、それだけの力があるからです。
一冊の参考書を作り上げる。一つの分野をほぼ完全に網羅する本。どれだけ深く広い知識が必要で、どれだけの時間と労力を費やさなければならないでしょうか。
そういったことを想像すらできないで、単にこれはダメとかやめたほうがいいとか言う資格があるのでしょうか?
ありません。傲慢です。
予備校に通っていたとき、周りの受験生がこんな分不相応な批評をしているのをよく耳にしました。
しかし、ぼくが東大に合格して、キャンパスの中でそういう批評家たちと再会することはありませんでした。
東大に合格するのは謙虚な人です。
傲慢な人は落ちます。
もしあなたが、だれかの授業や参考書を利用してみて、成績があがらなかったとしたら、どう考えますか?
まず、自分の側を疑ってみてください。本当にいっしょうけんめい取り組んだのか、どのくらい時間をかけたのか、どれくらい集中してやったのか。
そうして自分を振り返ってみて、どこにも問題点が見当たらなかった場合に初めて、その先生や本の責任ということになります。
責任といっても、その相手に非があるとは限りません。あなたのいまの実力とその授業や参考書のレベルが合っていなかっただけかもしれません。
相性が良くなかったからかもしれません。
成績があがらなかったとしても、人のせいにしてはいけないのです。
さらに言えば、そうやって人のせいにしている人の批評をまにうけて、あの本はだめなのかぁ、などと思ってはいけません。
自分にあっているかどうか。それを正しく判断できるのは、あなた自身しかいないのです。
どこの誰かもわからない人の批評は、参考程度にとどめてください。
どうしても自分では判断できないという場合には、専門家の意見を聞いてみるといいと思います。
長年受験産業に携わってきた、参考書のプロのような人がたくさんいます。参考書の選びかたに関する書籍もたくさん出版されています。
やはり信用度の観点からは、インターネットよりも出版物のほうが勝ります
インターネットには、検閲はありません。嘘や間違った情報でも、かまわず全世界に伝えることができます。ぼくの話も、どこまで本当かわかりませんよ?(笑)
書籍なら、原稿を書いた人のほかに、出版社で編集作業をする人、印刷をする人などたくさんの人の手を通ります。
何重にもチェックされているのです。厳重な関門をパスしてきた内容ですから、それだけ有意義で信頼できる情報だということです。
膨大な受験本のなかでも、ぼくは和田秀樹先生の本を参考にしていました。参考書選びにとても役に立ちました。
どうしても自分で選べない、自分の判断に自信がないという人は、その道のプロ、専門家に任せるべきです。
でも、忘れないでください。専門家のアドバイスを参考にしたとしても、最終的に決定するのはあなたなのです。
そして最後に、一番大切で、一番耳の痛いことですが、次のことを忘れないでください。
どんなにいい授業、参考書でも、あなたのやる気がなければ糞の役にも立ちません!
最初に選ぶのは慎重にしたとしても、いちど決めたら、トコトン骨の髄まで使い倒してくださいね。





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