脱二項対立

日曜日の朝、遅く起きてテレビをつける。
「なにか面白い番組はないかなぁ」
とチャンネルをまわす。
たまたまテレビ東京の番号を通ったときに飛び出してくる映像。
赤い覆面で武術に秀でた主人公が異形の怪人と格闘中。
そう、幼い子供に大人気の「戦隊ものシリーズ」です。
最近は子供のお母さんがたにも人気があるようですね。二枚目の俳優さんが演じ
ているということで。
ストーリーは単純明解、勧善懲悪です。
勝った、負けた、そのどちらかです。子供にでもわかりやすいはなしです。わか
りやすいので、喜んで見ています。
そして「なんとかレンジャー魚肉ソーセージ!」という正義のヒーローからの熱
いメッセージに洗脳され、おいしくも安くもない、しかも自分では食べない食料
品の、極めて有能なセールスパーソンとなるのです(笑)
それに対して、大人が興味を持つストーリーというのは、複雑なものです。

ぼくも先週の日曜日、「半落ち」という映画を観てきました。
人を殺してしまった元刑事の話です。
いちおう最後には裁判で判決が出ます。しかし、誰が勝った、負けた、の話では
ありません。各人各様の感情の機微が蠢いています。
0か1のデジタルではなく、0.1も0.00いくつも無数に存在するアナログ
の世界です。
そして、あなたやぼくが住んでいる場所は、紛れもなくアナログの世界で
す。

たとえば、東大合格と東大不合格は、どちらかしかないのではありません。
東大に合格しても不本意な場合もあるでしょうし、東大に不合格となっても満足
のいく部分もあるでしょう。
あなたは東大に合格しますが、同じ合格するにしても、できるだけ最高の形に近
づけた合格のしかたを目指してくださいね。
それから、勉強のやりかたについても同じことが言えます。
このホームページの◆受験編◆の最初のページで、ぼくがなにを話していたかお
ぼえていますか?
そう、「勉強を楽しもう!」ということです。
楽しいことならば、だれになにを言われなくても自分からすすんでやるもの
です。趣味などはそうですよね。

いったんそうなってしまえば、あとは勝手に進むエスカレーターのようなもので
す。放っておいてもうまくいきます。
「でも、それができないんだよね・・・」
なんて、もしかして思いはしませんでしたか?
そうだとしたら、この脱二項対立の話を思い出してください。
勉強が楽しいか、楽しくないかの両極端だけしかないのではありません!

これは楽しいけどあれは楽しくないとか、さっきは楽しくなかったけどいまは楽
しいとか、カンペキに楽しくはないけど、ちょっとは楽しいかな、とか・・・
アナログで無数に状態のあるあなたの心を、このデジタルな言葉でとうてい書き
尽くせるものではありません。
たった少しだけ楽しくないなぁという気持ちがあったからといって、それだけ
で、自分って勉強を楽しめていないんだ、などと悲観する必要は全くないので
す。
それよりもむしろ、楽しいと感じるところがほんのちょっとでもあったとし
たら、そちらのほうを喜ぶべきです。

気持ちというのは面白いもので、さいしょは小さかったものが、時がたつにつれ
て増殖し、やがて合体して大きな感情になるのです。
あなたのいまの趣味も、始めたときからいまほど好きだったわけではないはずで
す。だんだん現在のような気持ちに近づいていったのです。
これから、勉強時間があまりとれなかったとか、模擬試験の成績が良くなかった
とか、落ち込むことも出てくるでしょう。
それでも、あなたは自分をだめ人間とみなしてはいけません。
ちょっとは、だめなところもあったかもしれません。それは素直に反省し、
次は改める努力をすればいいだけのことです。

というより、それができるあなたは、褒め称えられるにたる人物です。
そしてさらに、だめではなかった部分に目を向けてください。だめなところ
ばかりに目を奪われてはいませんでしたか?

よく見れば、たくさんいいところがあるではありませんか。
勉強時間が少なかったかもしれない、でも、ちょっとは勉強をしました。勉強を
しようという前向きな気持ちを持っていました。勉強をしなきゃという切迫した
気持ちもありました。
成績が思ったより良くなかったかもしれない、でも、その成績をとるのにどれだ
けがんばったでしょうか。ほかのやりたいことをちょっとでもがまんして、努力
をしたのではなかったでしょうか。
素晴らしい人間、だめな人間、どちらも実在しません。
素晴らしいところがある人間、だめなところがある人間がいるだけです。

そして両者はコインの裏表。同じ人間というものの、見方を変えただけなので
す。
いまの東大生も、未来の東大生であるあなたも、同じ人間です。
寝ないで遊ばないでトイレもがまんして勉強をしていたこともあれば、ねぼうし
てだらけてトイレにいきまくっていた(笑)こともあるのです。
ただ一つ、東大に行くんだ!という気持ちがあっただけのことです。
そうすると自然に、勉強をする方向へと近づいていくのです。まるで磁石に吸い
付けられるように、スーっと。
人間の心ってふしぎなものですね。
超常現象などではなく、現実に、そうなっていくのですから。
だから最初の決意が大事なのです。
大事どころではありません、必要なのです。

あなたは五月病などに冒されてはいませんか?
そんなときほど、気持ちをあらたに、決意を固めて東大への想いを確かめるので
す。
心の芯に根づいた種は、必ず花開くものと相場が決まっているのですよ。
だいじょうぶ、落ち着いて自らと直面してみてください。
きっと再び力強く歩き出すことができますから。





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