放射性東大生

化学で、同位体というのを習ったことがあると思います。
原子核は陽子と中性子とでできていますが、陽子の数は同じなのに中性子の数が違うものをお互いに同位体であると言うのでしたね。

たとえば炭素は陽子が6個ですが、中性子の数が6,7,8個の3種類の同位体があります。
このうち、中性子が8個のものは、放射能をもっています。放射能とは、放射線を放出する能力のことです。
放射能を持つ同位体のことを、放射性同位体と言います。

天然の放射性同位体はラジウムくらいしかないのですが、東大の学生実験ではけっこう危険な鉄の放射性同位体を扱いました。見た目はただの粉です。
危険といってもレントゲン写真よりも弱いと思います。
なのでいつもと同じ普通の白衣で、普段と同じような実験室でいじっていました。

ただし、これは吸い込んだりするとものすごく危険です。
透過力の弱いアルファ線という放射線を出す物質だったので、服を着ていたり距離が離れているぶんには安全でした。
でも体内に入ったりしたら、人間の細胞に直接くっついて、放射線が直に当たってしまいます。これは大変!

なので実験で使ったゴム手袋はすぐに捨てて、持ち運び用のケースもピンセットも、触れたものは全て使い捨てです。
これは低レベルの放射性廃棄物として処理されます。

ということで、東大の先生からも厳重に取り扱うようにとの指示を受けていました。
ところが・・・

とんでもないやからがいたのです!(笑)

いや、わざとじゃないんですよ。本人は一生懸命だったのです。
でも、教室中が大騒ぎになってしまいました。

なんと、ケースを持ったまま歩いている途中に派手に転んで、
例の放射性物質を床一面にばらまいてしまったのです!(かなり危険です!)

まるで、夜の電車の中でひどく酔っ払った人が胃の内容物を撒き散らし
満員であるにも関わらずその近辺には誰も近づかない、そんな状況です(笑)

究極の選択ですね、あなたならどちらを選びますか?
嘔吐物の近くか放射性物質の近くか・・・

前者は刺激臭がして気持ち悪いけれども、健康上は害はない。
後者は臭いもなにもないけれど、もしかしたら病気になるかも。

そこで勇敢なTAの人が、厳重にマスクをして散らかった粉を掃除しにきました。
TAというのは、ティーチングアシスタントといって、大学院生の先輩が
東大生の実験の手伝いをしてくれるのです。

勇敢というか、指導教官の命令だったのかもしれません。
TAは後輩の面倒をみる代わりにアルバイト料をもらっているのです。
こんなときでもしっかり責任を果たさないといけないのです。
なかなかつらい任務ですね。

ということで一件落着となったのですが、本当にだれも吸い込んでいなかったのかはわかりません。
体に支障をきたすのは何年もたってからだという話も聞いたりするので、まだ様子を見てみないとわからないですね。
このホームページが突然なくなったらぼくが吸い込んだのだと思ってください(笑)





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