試験対策委員会方式

東大にはユニークな自主学生組織があります。
その名も「試験対策委員会」。
クラス全員で協力して、みんなが試験で好成績をとれるようにしよう!というものです。

高校の定期テストで、国語や数学、英語などのいくつかの教科の試験があったように、東大でも学期末にはいくつかの試験が課されます。
この成績の結果が、「進学振り分け」のときに重要な役割を果たすのですね。
もちろん、それだけじゃなくて、卒業できるかどうかにも密接に関わってきますよ。

そんな一大イベントである学期末試験を、なんとか要領よくこなしたいという東大生の欲望が形となって表れたもの、それが試験対策委員会です。

まず、クラスの中から試験対策委員長を選出します。目立つ人が選ばれます。
委員長は他のクラスメイトのなかから、各講義(教科)ごとに担当の委員を決めます。
委員は責任を持って担当の講義に出席し、授業を受け、よく理解し、きれいなノートをとって、試験前になったら他のクラスメイトに教えなければなりません。
教える手段としては、お手製のプリントを作って、クラス全員に配布するという方法が一般的ですが、たまにインターネットを使う人もいます。
そのプリントのことを、「シケプリ」と言ったりもします。
講義はたくさんあるし、各講義の委員は複数名でもいいので、たいていの人はなんらかの講義の担当になります。

うちのクラスで数学の講義担当になったのは、Kさんでした。
しかしKさんは数学が大の苦手。みんな嫌がる数学担当に、じゃんけんで負けてなってしまったのでした。
そこでどうしたかというと・・・
前に、理科2類は理科3類の人と同じクラスになるといいました。そうです、理3の数学が得意な人からノートを借りて、それをコピーしてシケプリとしてみんなに配ろうと考えたのでした。

ただし、困ったことが1つありました。

そのノートの持ち主があまりにも達筆すぎて(笑)、読解が困難だったのです。
よく、お医者さんは字が汚いといいますが、学生時代からそんな才能の片鱗を表していたということなのかもしれません(?)。
しかたがなく、Kさんはそのノートから自分のノートへ自分の字で書き写したのでした。
しかも不明な文字を判読しながらの作業だったので、手を動かすだけの単純作業とはいきません。
「この流れからすると、このぐちゃっとした式はこういうことかな?」というように推測しながら写したのです。
まるで模範解答の空所補充のようになっていました。

しかし、これがものすごい効果があったのです。

いえ、こうやってKさんが作ったシケプリのおかげでみんなが高得点をとれたというのではなく、Kさん自身が試験で高得点をマークしたのです!
合格してしまうと、たとえ東大生といえども今までのようにまじめにコツコツ勉強するという人は少なくなってしまいます。
Kさんの場合、それがなく、地道に努力するタイプだったのがよかった点です。
その性格でもって、この一風変わった数学勉強法を使いこなし、なんとクラス内4位という快挙をなしとげたのです。
必要に迫られて苦し紛れに思いついた方法とはいえ、この勉強法、やってみるとかなりの効果をあげたのでした。

自分で一から問題を考えるのではないので、解法が思いつかないなあと言って考えこんでしまって手が動かない、という時間がありません。
しかも、人間コピー機のようにただ手を動かしているだけでもありません。
解き方の流れを予測しながら、時間を効率よく使い、最大の効果をあげる・・・

これはまさしく、東大受験にも使える方法ですね!





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